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ここでは、就業規則に記載する事項のうち、休憩・休日・休暇に関する事項について説明させていただきます。
労働時間に応じた休憩の付与が法律上義務付けられているため、休憩時間について就業規則上に記載する必要がありま
す。なお、付与する休憩時間は下記の通りとなっています。
① 労働時間が6時間以下の場合
休憩時間を与える義務はありません。
② 労働時間が6時間を超え8時間以下の場合
少なくとも45分の休憩を与えなければなりません。
③ 8時間を超えて労働させる場合
少なくとも1時間の休憩を与えなければなりません。
※ 労働時間には所定外労働時間も含まれるため、例えば所定労働時間が7時間30分で、休憩が45分の会社の場合、
時間外労働を1時間させたときには、労働時間が8時間を超えているため、追加で15分の休憩を与えなければな
りません。そのため、就業規則に休憩時間を定める場合、8時間を超えて労働させる可能性が少しでもあるなら
1時間で定めたほうがいいと思います。
※ 8時間を超えて労働させる場合、法律上は何時間働かせても1時間の休憩を与えれば問題はありません。しか
し、あまりに長時間連続勤務させると、作業効率が落ちていくだけになりますし、労働者の心身にとっても
よくないため、ある程度のところで追加の休憩を与えるべきだと思います。
休憩時間の与え方や、利用方法について三つの原則があり、これに反する休憩は違法となります。
① 労働時間の途中付与の原則
休憩時間は労働時間の途中に与えなければなりません。労働時間の前や後に休憩時間を与えることはできません。
② 一斉付与の原則
下記のいずれかの場合を除いて同一事業場の労働者に対しては一斉に休憩を与えなければなりません。
a. 労使協定を締結した場合
一斉に休憩を与えない労働者の範囲、休憩の与え方について労使協定を結び、就業規則に記載すること。な
お、労使協定の届出の義務はありません。
b. 適用除外とされている場合
以下の事業については適用除外とされています。
〇 運輸交通業
〇 商業
〇 金融・広告業
〇 映画・演劇業
〇 通信業
〇 保険衛生業
〇 接客娯楽業
〇 官公署
なお、上記の事業については、手続きなしで自動的に適用除外となります。
③ 自由利用の原則
以下に該当する者以外の者については、休憩時間を自由に利用させなければなりません。
a. 警察官、消防吏員、常勤の消防団員及び児童自立支援施設に勤務する者で児童と共に起居する者
b. 乳児院、児童養護施設、知的障害児施設、盲ろうあ児施設及び肢体不自由施設に勤務する職員で児童と共に
起居する者
※ 使用者は、その員数、収容する児童数及び勤務の態様について、あらかじめ所轄労働基準監督署長の許可
を受けなければなりません。
c. 児童福祉法に規定する居宅訪問型保育事業に使用される労働者のうち、家庭的保育者として保育を行う者
(同一の居宅において、一の児童に対して複数の家庭的保育者が同時に保育を行う場合を除きます。)
※ 休憩時間中に労働者が宗教の布教活動を行うのを制限するなど事業場の規律保持上必要な制限を加えること
は問題ありません。
※ 休憩時間中の外出について上長の許可を得ることとすることは、事業場内において自由に休憩し得る場合に
は必ずしも違法とはなりません。
休日と休暇の違いは労働義務があるかどうかの違いです。
休日ーーー労働契約で労働義務がない日です。
休暇ーーー労働契約では労働義務がありますが、個別に労働義務を免除する日です。
労働者に休日の付与が義務付けられているため、いつを休日とするのか就業規則上に記載する必要があります。なお、
付与する休日は下記の通りとなっています。
① 原則
毎週少なくとも1回の休日
② 例外
4週間を通じ4日以上の休日
※ この場合4週間の起算日を就業規則に定めなければなりません。
なお、毎週1回の休日又は4週を通じ4日の休日を法定休日といい、それ以外の休日を所定休日といいます。
※ 法律上は就業規則に法定休日と所定休日を明確にしておく必要はありません。法定休日と所定休日が明確に定
められていない場合は暦週の後の日が法定休日となります。ただ、法定休日に労働させた場合は休日労働とな
り、所定休日に労働させた場合は時間外労働となるため、法定休日か、所定休日かによって割増賃金が変わって
しまい明確にしていないと労使トラブルの基になってしまいます。そのため、就業規則に法定休日を明確に定め
ておくべきだと思います。
法律上で定められている休暇(休業)は下記のとおりです。
① 有給休暇
一定の要件を満たした労働者に発生する権利です。勤続年数や所定労働日数、所定労働時間によって与えなけれ
ばならない日数が異なってきます。なお、有給休暇については2019年4月から一定の者に対して年5日以上の取得
義務化が行われています。
※ 有給休暇について詳しくはこちら。
② 産前産後休業
6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性及び出産後8週間を経過しない女性には休暇を与え
なければなりません。その際の賃金は有給でも無給でも構いませんが、就業規則に記載しておく必要があります。
※ 産後6週間を経過した女性が就業を請求した場合、医師が差し支えないと認めた業務に限り就かせることが
できます。
※ 産前産後休業を取得した労働者に対しては、申請することにより健康保険より会社から支払われる賃金に
応じた出産手当金が支給されます。
③ 出生時育児休業(産後パパ育休)
産前産後休業を取得していない出生後8週間以内の子を養育する労働者から申出があった場合には休暇を与えなけれ
ばなりません。その際の賃金は有給でも無給でも構いませんが、就業規則に記載しておく必要があります。
※ 出生時育児休業(産後パパ育休)について詳しくはこちら。
④ 育児休業
出生日(女性労働者の場合は産後休業終了日の翌日)から子が1歳に達する日(一定の要件に該当した場合最長
子が2歳に達する日)までの間で労働者から申出があった場合は休暇を与えなければなりません。その際の賃金
は有給でも無給でも構いませんが、就業規則に記載しておく必要があります。
※ 育児休業について詳しくはこちら。
⑤ 子の看護休暇
小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者から申出があった場合は1年に5日(子が2人以上の場合は
10日)まで子の看護または子に予防接種や健康診断を受けさせるために休暇を与えなければなりません。その際
の賃金は有給でも無給でも構いませんが、就業規則に記載しておく必要があります。
⑥ 介護休業
要介護状態にある対象家族を介護する労働者から申出があった場合は対象家族1人につき通算して93日の休暇を
与えなければなりません。その際の賃金は有給でも無給でも構いませんが、就業規則に記載しておく必要があり
ます。
※ 介護休業について詳しくはこちら。
⑦ 介護休暇
要介護状態にある対象家族を介護する労働者から申出があった場合は1年に5日(対象家族が2人以上の場合は
10日)まで対象家族を介護するための休暇を与えなければなりません。その際の賃金は有給でも無給でも構い
ませんが、就業規則に記載しておく必要があります。
⑧ 生理休暇
生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは休暇を与えなければなりません。その際の賃金は有
給でも無給でも構いませんが、就業規則に記載しておく必要があります。
※ 生理休暇に関しては個人差があるため、〇日有給で、他は無給といった有給の日数の限度を定めることは
できますが、生理休暇は1年〇日までといった日数自体の制限を定めることはできません。
※ 生理休暇は日単位で与えても構いませんし、時間単位で与えても構いません。就業規則に与え方も記載し
ておく必要があります。
参考 休業と休暇の違い
休業と休暇の違いは期間の違いとなります。休業は休暇に比べて比較的長い期間労働義務を免除する場合に用い
られます。
※ 上記の休暇は法律上認められているものです。有給休暇以外については休暇を与えれば有給であっても無給で
あっても構いません。ただし、上記休暇を取得することによって賞与を減額する、人事評価を引き下げる、解雇
するなど不利益な取扱いをすることは禁じられています。
法律で定められているわけではありませんが一般的に慶弔休暇の規定は設けられていると思います。慶弔休暇の規定を
設ける場合には法律で定められたものではないため日数や有給とするか無給とするかは就業規則に記載しておく必要が
あります。
参考 法律上は先に述べた7つの休暇が取得できるようになっていれば問題ありません。ただ、少子高齢化の進行に
より今後ますます人材の確保が困難となることが予想されますので、有給の誕生日休暇やリフレッシュ休暇な
どの会社独自の休暇を設けたり、有給休暇を法定の日数以上に与えることなど検討してみてはいかがでしょう
か。
法律上定められている休暇は先に述べた8つになります。特に有給休暇以外の休暇については有給とするか、無給とする
かについて法律上定められていないため労働トラブルを未然に防ぐためにも就業規則上に有給、無給の別を明記してお
かなければなりません。