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同一労働同一賃金とは、無期雇用フルタイム労働者(以下正規雇用労働者)と有期雇用労働者、パートタイム労働者、
派遣労働者(以下非正規雇用労働者)との間の待遇の相違について不合理な差を設けてはならないというものです。勘
違いをされている方もいますが、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇を同一にしなければいけないというもので
はありません。職務内容や配置の変更の範囲等が全て同一であるなら同一の待遇を、職務内容や配置の変更の範囲等が
異なるのであれば違いに応じた待遇を行わなければいけません。
注:同一労働同一賃金とは言っていますが、賃金だけではなく、夏季休暇や私傷病休暇などの福利厚生についても不合
理な待遇差を設けることが禁じられています。
※ 法律で禁じられているのは、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差ですが、正社員と無期雇
用の嘱託、契約社員との間の待遇差について、法律を類推適用して不合理とした判例もありますので、正規雇用労
働者間の待遇差についても注意が必要です。(参照:東北映像事件 仙台高判令和7年9月11日)
待遇の相違に不合理性がないのかどうか以下の3点で複合的に判断を行います。
① 職務の内容
a. 業務の内容
b. 業務の成果について求められる役割
c. トラブル発生時に求められる対応の程度 等
② 変更の範囲
a. 職務の内容の変更の範囲
b. 配置の変更の範囲
③ その他の事情
a. 職務において求められる成果・能力・経験の水準
b. 待遇を決める際の労働者との話し合い
c. 正社員登用制度 等
※ 不合理かどうかを判断する際は、それぞれの手当や福利厚生の趣旨・目的に照らして個別に判断されます。
正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の待遇差が不合理かどうかを判断する目安として厚生労働省が同一労働同一
賃金ガイドラインを出しています。ここではその一部をご紹介します。なお、同一労働同一賃金ガイドラインはこれまで
の判例を基に作成されたものですが、個別のケースごとに判断が異なってくるため、同一労働同一賃金ガイドラインの
基準を満たしていれば絶対に大丈夫というものではありません。また、今後の判例によってガイドラインの内容に変更
が生じる可能性もあります。
※ ここでは派遣労働者については省かせていただきます。同一労働同一賃金ガイドラインを確認したい方はこちら。
(厚生労働省のホームページへいきます。)
① 基本給
基本給については以下の趣旨・目的のうち複数の趣旨・目的で支給を行っている場合が少なくないかと思います。その
場合には、それぞれの趣旨・目的ごとに不合理性がないようにしなければなりません。
a. 労働者の能力又は経験
b. 労働者の業績又は成果
c. 労働者の勤続年数
② 役職手当
役職の内容に応じて不合理性がないようにしなければなりません。
③ 精皆勤手当
業務の内容が同一の場合には、同一の精皆勤手当を支給しなければなりません。
④ 家族手当
労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる場合には、同一の家族手当を支給しなければな
りません。
参. 相応に継続的な勤務というのが何年を指すのかガイドラインでも裁判でも明確にされていません。私見ですが、無
期雇用への転換申込権が発生する5年が一つの目安となるのではないかと考えます。(あくまでも個人的な考え方で
あり、裁判になった場合には認められるとは限りません。)
⑤ 賞与
賞与については以下のような趣旨・目的のうち複数の趣旨・目的で支給を行っている場合が少なくないかと思います。
その場合には、それぞれの趣旨・目的ごとに不合理性がないようにしなければなりません。
a. 労務の対価の後払い
b. 功労報償
c. 生活費の補助
d. 労働者の労働意欲の向上 等
⑥ 夏季冬期休暇
同一の夏季冬期を付与しなければなりません。
⑦ 慶弔休暇
同一の慶弔休暇を付与しなければなりません。
まず基本給や手当、夏季冬期休暇などをどういった趣旨・目的で支給しているのか(与えているのか)確認が必要で
す。趣旨・目的を確認した後、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間に待遇の相違がないのか確認をし、待遇に相
違があるのであれば同一労働同一賃金ガイドラインを参考に、待遇の相違に不合理性はないのか判断します。待遇の相
違に不合理性があるのであれば制度の見直しを行います。なお、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の待遇差を
合理的なものとするため正規雇用労働者の待遇を引き下げることは原則認められません。
※ 正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の待遇差を合理的なものとするため、非正規雇用労働者の待遇を引き上
げることによって会社の存続に重大な影響を与えるなど特別な事情がある場合には労働者との間の話し合いによって正
規雇用労働者の待遇を引き下げられる余地はありますが、最終的には裁判での判断となります。