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ここでは企画業務型裁量労働制について説明させていただきます。
事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務で、業務の遂行の方法を大幅に労働者にゆだねる
必要がある業務について、実際の労働時間にかかわらず、一定時間労働したものとみなすものです。なお、対象となる
業務は、以下の全ての要件を満たすものとされています。
① 事業の運営に関する事項についての業務であること
② 企画、立案、調査及び分析の業務であること
③ 当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務
であること
④ 当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務であること
労使委員会の委員の出席者の5分の4以上の多数の議決をとり、所轄労働基準監督署に届け出ることが必要です。また、
就業規則などへの記載が必要となります。
労使委員会とは、賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該
事項について意見を述べることを目的とする委員会のことです。労使委員会は以下の全ての要件を満たしていなければ
なりません。
① 委員会の委員の半数については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においては
その労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者に任期
を定めて指名されていること
② 委員会の議事について、議事録が作成され、かつ、3年間保存されるとともに、当該事業場の労働者に対する
周知が図られていること
なお、労使委員会を設けた際には、労使委員会の同意を得て、運営のルールに関する下記の事項について規定を定め
なければなりません。
① 労使委員会の招集に関する事項
a. 定例として予定されている委員会の開催に関すること
b. 必要に応じて開催される委員会の開催に関すること
② 労使委員会の委員数に関する事項
a. 労使委員会の委員の人数
b. 労使委員会を開催する際に必要とされる労使それぞれの委員の出席者の人数又は割合
③ 議事に関する事項
a. 議長の選出に関すること
b. 決議の方法に関すること
④ その他労使委員会の運営について必要な事項
a. 使用者が労使委員会に対し開示すべき情報の範囲、開示手続き及び開示が行われる労使委員会の開催時期
b. 労働組合や労働条件に関する事項を調査審議する労使協議機関がある場合には、それらと協議のうえ、労使
委員会の調査審議事項の範囲についての定め
⑤ 労使委員会が労使協定に代えて決議を行うことができる規定の範囲についての定め
※ 労働基準法に定められている労使協定のうち、「労働者の委託による貯蓄金の管理」及び「賃金の一部控
除」以外の労使協定については、労使協定ではなく労使委員会の決議によることができます。
労働基準法に定められている労使協定についてはこちら。
企画業務型裁量労働制を用いるためには、以下の事項について決議しなければなりません。
① 対象業務
② 対象労働者の範囲
※ 対象労働者については、対象業務に常態として従事していることが原則であるとされています。また、対象
業務ごとに、対象業務を遂行するために必要な知識や経験などは異なるため、必要な職務経験年数や職能
資格等の具体的な基準を明らかにする必要があるとされています。
③ 労働時間として算定される時間
④ 労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該決議で定めるところにより
使用者が講ずること
※ 健康及び福祉を確保するための措置については、以下の全ての要件を満たす必要があるとされています。
a. 使用者が対象労働者の労働時間の状況等の勤務状況を把握する方法として、当該事業場の実態に応じて
適当なものを具体的に明らかにしていること
b. a.により把握した勤務状況に基づいて、対象労働者の勤務状況に応じ、使用者がいかなる健康・福祉確保
措置をどのように講ずるかを明確にするものであること
⑤ 労働者からの苦情の処理に関する措置を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること
※ 苦情処理措置については、苦情の申出の窓口及び担当者、取り扱う苦情の範囲、処理の手順・方法等その
具体的な内容を明らかにするものであることが必要であるとされています。
⑥ 使用者は、この項の規定により労働者を対象業務に就かせたときは③にに掲げる時間労働したものとみなす
ことについて当該労働者の同意を得なければならないこと及び当該同意をしなかった労働者に対して解雇その
他不利益な取扱いをしてはならないこと
※ 労働者の同意は、労働者ごとに、かつ、決議の有効期間ごとに得られるものであることが必要であるとされ
ています。
⑦ 決議の有効期間
※ 3年以内が望ましいとされています。
⑧ 以下に掲げる事項に関する労働者ごとの記録を有効期間中及び当該有効期間の満了後3年間保存すること
a. 労働者の労働時間の状況並びに当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置として講じた措置
b. 労働者からの苦情の処理に関する措置として講じた措置
c. 対象労働者から得た同意
企画業務型裁量労働制は、労働者にとって過重な負担となる恐れが高いことから、以下の事項について、決議が行われ
た日から起算して6箇月以内ごとに1回所轄労働基準監督署長に定期的に報告することが義務付けられています。
① 対象労働者の労働時間の状況
② 対象労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施状況
企画業務型裁量労働制を用いることができる事業場は労使委員会が設置された下記の事業場のみとされています。
① 本社・本店である事業場
② ①以外の事業場で下記に該当するもの
a. 当該事業場の属する企業等に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行われる事業場
b. 本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく独自に、当該事業場に係る事業の運営に
影響を及ぼす事業計画や営業計画の決定を行っている支社・支店等である事業場
また、企画業務型裁量労働制は、満18歳に達するまでにある者、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性には適用
できません。
企画業務型裁量労働制を用いた際の労働時間は、労使委員会で決議した時間となります。